名誉学長ご挨拶

ジャン・アルローD.O.名誉学長ご挨拶

ジャン・アルローD.O.名誉学長

日本においてオステオパシーの普及と質的向上を目指している日本オステオパシーメディスン協会(JOMA)はこの度、素晴らしい選択をされました。それは我国フランスの伝統あるオステオパシー教育機関アンドリュー テーラー スティルアカデミー(ATSA)と提携して、日本ばかりかアジアでも唯一の本格的なオステオパシー校、スティルアカデミィジャパン(SAJ)を東京に誕生させたことです。

オステオパシーの臨床家は、困難な仕事に立ち向かわねばなりません。厳格さ、熱意、根気、そして忍耐が必要です。
臨床家であるかぎり、だれもが同じ困難に立ち向かうのです。

臨床家への道を進む者は、繰り返し疑い、苦しみながら学びを重ね、そして学んだことをまた新たに問い直し続けていくことでしょう。けれどもこの道にはまた、光に満ちた瞬間もあるのです。命の現象を理解し、成功する、そうした輝くような瞬間もあるのです。オステオパシーは、単に科学的な技術であるだけではありません。

オステオパシーとは、手を使ったひとつの芸術です。表面的な、あるいは深い感覚を通して私たちの手が知覚する現象は、普遍的な大法則に対応します。そしてまた、生ける存在すべてに活力を与える生命のプロセスの現象にも対応するのです。頭で理解する知識が、オステオパシーの実践の最初の柱です。臨床家はその全職業人生を通じて、人体構造、生理学、医学の基本的な事項、オステオパシーの技術について学んだことを、たえず問い返していかねばなりません。オステパシーの実践の第二の柱は、健康のプロセスについての知識です。
一人ひとりの人間が、特有の健康の現象を持っています。よく耳を傾け、観察し、触り、感じる訓練を重ねることで、臨床家はこの健康のプロセスを見分けることができるようになります。
オステオパシーの障害や病気は、力学的、科学的そして電磁気学的な力から生じます。これらの力は、内在的なものもあれば外来的なものもありますが、いずれも健康のプロセスを妨げるのです。オステオパシーの実践の第三の柱は、自分自身を知ることです。「汝自身を知れ」とソクラテスは言いました。他人をよく治療するために、私たち自身の限界がどこになるのかを知りましょう。それによって、一人ひとりの患者を、欠かせない外部の支えとなって助けることができるのです。良い結果が出たときも、悪い結果が出たときも、結果の前に謙虚でありましょう。
私たち臨床家は人体の自然の矯正力の引き金となることしかできないのだという事実を受け入れましょう。

オステオパシーには、動かないもの、変化しないものはありません。私たちが実践し、感じ、理解することは、臨床家としての生涯を通して進化します。オステオパシー創始の父であるDr. スティルとサザーランドの行った教育、書いた書物が、そのことを証明しています。
私たち一人ひとりが、成熟のプロセスを体験します。このプロセスはおそらく多かれ少なかれす早く起こるものです。しかし伝統、絶えざる知的好奇心、耳を傾けることによって生まれる人間的美点、謙遜、他者に対して開かれていることなどがそれを培うのでなければ、この成熟のプロセスが起こることはないのです。

私はSAJの名誉学長として協力できますことを大変光栄に思っており、今後も出来る限りの援助を惜しまないつもりです。SAJの充実・発展を心より願っております。道のりは厳しいですが、学生のみならず講師陣も全精力を注いで歩んでいっていって下さい。

名誉学長 祝辞

厳しい学校での勉強後、ついに皆さんはオステオパスとして認められました!おめでとうございます!

オステオパシーとは、やり方を習い覚えて、タイミングよく正しい場所に行うだけで事足りるような、単なるテクニックではないことを、皆さんは既に聞いているでしょう。

オステオパシーにはトレーニングと手の教育が必要なことも聞いているでしょう。
そのために皆さんは、信念と勇気をもって訓練に励んでこられました。

知識がなければテクニックが何にもならないことも、聞いているでしょう。そして皆さんは、解剖学、生理学、症候学、病理学の知識を習得されました。

健康と病気に対するオステオパシー哲学について、またこの哲学なしにはテクニックと知識は無意味であるということも、おそらく聞いているでしょう。

人間と宇宙の間に存在しているだろうバランスと、この両者の間の絶え間ない相互作用について、おそらく授業で触れられていることでしょう。
学んだことすべては、皆さんの中に生き続けるものです。患者と過ごす時間や人との交流、職業あるいはそれ以外の出会いなどによって豊かになっていきます。
皆さんは今後、自らの職業経験の中で、学校で習った方法やそれ以外の考え方を見つけ、経験を豊かにしていくことでしょう。

つまり、患者に対して自分が果たすべき役割を探っていくのです。

この大きな挑戦を成功させるためには、謙虚さを失わず、世の中の物事や他の人々に対して関心を持ち続け、心を開いていなければなりません。
ある日、施術において行う手技が、まさに自らの受容性(オープンに相手を受け入れる)や、他者に対する愛を反映していることに気づくかもしれません。
皆さん全員に対して、オステオパシーの実践のなかで、私が今でも発見し続けていると同じくらい多くの幸福と愛を見つけてほしいと願っています。

友人として、同僚としての励ましをこめて。

2014年10月25日グルノーブルにて

ジャン・アルローD.O.名誉学長